CLINIC
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こんにちは。アンデュースキンケアクリニック院長の山崎です。
9月に入り、朝晩は少しずつ過ごしやすくなってきましたが、日中はまだまだ暑さ厳しい日も多いですね。今年の夏も強い紫外線や蒸し暑さが続き、外出するだけで体力を消耗するような日が多かったように感じます。
この時期になると、患者様からも
「肌のハリがなくなった気がする」
「顔が少し疲れて見える」
「小ジワが目立つようになった」
といったご相談が増えてきます。
また、意外と多いのが髪のお悩みです。
夏の紫外線、汗や皮脂、冷房による乾燥などが重なると、肌だけでなく頭皮環境にも影響が出やすくなります。秋口に抜け毛が増えたように感じたり、髪のハリやボリューム感が気になり始めたりする方も少なくありません。私自身も50代になってから、肌や髪の変化は日々の生活や季節の影響を受けやすいものだと、より実感しています。 大切なのは、気になる変化を「年齢のせい」とあきらめるのではなく、今の状態を正しく見極め、「必要なケアを選んでいく」ことです。
そこで今回のブログでは、当院で行っている再生医療の
「W-PRP皮膚再生治療」
についてご紹介いたします。
W-PRP皮膚再生治療は、ご自身の血液から抽出した成分を使用し、肌のハリ不足や小ジワ、年齢による肌質変化や頭皮環境にアプローチする治療です。当院では、顔、首、手の甲、頭皮・頭髪のお悩みに対して治療を行っています。今回は、顔と頭髪それぞれの症例も交えながら、W-PRP皮膚再生治療の特徴や効果の出方、どのような方に向いているのかをわかりやすく解説してまいります。肌や髪の変化が気になり始めた方は、ぜひ最後までご覧ください。
PRP治療は、採血したご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出・濃縮し、エイジングサインが気になる部位へ注入する再生医療です。PRPとは「Platelet-Rich Plasma」の頭文字をとった名称で、日本語では"多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)"と呼ばれます。
血液には、赤血球・白血球・血小板など、それぞれ異なる役割を持つ成分が含まれています。赤血球は酸素を全身へ運び、白血球は細菌やウイルスなどから体を守る免疫に関わります。血小板には、ケガをした際などに出血を止める働きに加え、組織の修復に関わるさまざまな成長因子が含まれていることが特徴です。PRP治療では、こうした血小板や成長因子の働きを活用し、肌のハリや弾力、小ジワなど年齢とともに現れる肌変化や、頭皮・頭髪のお悩みへの改善を目指します。

PRP治療は血小板を用いた再生治療の総称であり、抽出方法によって白血球の含有量が異なります。 PRP治療の中には白血球をできるだけ少なくしたものもあれば、白血球を多く抽出するものもあります。
当院で行っているW-PRP皮膚再生治療は、血小板に加えて白血球もしっかり抽出することが特徴です。W-PRPの「W」は「White blood cell-containing 」を意味し「白血球含有」ということになります。白血球は主に免疫を担う役割として知られていますが、成長因子の働きをサポートする役割や、組織の修復にも関与しています。そのため、W-PRP皮膚再生治療では血小板に含まれる成長因子に加えて、白血球も活用することで、より多角的な皮膚再生へのアプローチが期待できます。
当院では、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、認定再生医療等委員会による審査を経た再生医療等提供計画を厚生労働大臣へ提出し、必要な手続きを行ったうえでW-PRP皮膚再生治療を提供しています。
再生医療は、治療内容だけでなく、安全管理や治療後の経過確認などについても法令に沿った体制のもとで提供することが求められています。当院でも、こうした基準や手続きを遵守しながら治療を行っています。
美容医療におけるW-PRP皮膚再生治療は、ご自身の血液から抽出した成分を活用し、肌が本来持つ組織修復の働きにアプローチする治療です。血小板から放出される成長因子や、成長因子の働きをサポートする白血球が、組織の修復に関わる細胞へ働きかけることで、コラーゲンなどの産生を促し、肌のハリや弾力・小ジワ・質感などを徐々に整えていくことを目指します。こうした組織修復を促す働きは頭髪分野にも応用されており、頭皮では毛包周辺の組織環境に働きかけ、発毛・育毛をサポートする治療として活用されています。
注入直後に形を大きく変えるのではなく、組織の変化に伴って徐々に効果が現れるため、周囲に気づかれにくい自然な変化を目指しやすいことも特徴です。「いかにも治療を受けたような変化は避けたい」「自分自身の血液を活用する治療に魅力を感じる」「肌や頭皮そのものにアプローチしたい」という方にとって、W-PRP皮膚再生治療は選択肢のひとつとなります。
採血した血液を遠心分離器にかけると、成分の重さの違いによって大きく3つの層に分かれるので、その中から治療で使用する成分を抽出します。3つの層のうち、一番上は水分やタンパク質を多く含む部分となり、次の中間層は血小板や白血球を含む部分で、一番下は赤血球が沈みます。PRP治療では主に中間層を使用しますが、中間層の上部には血小板が多く、下部には白血球と血小板が含まれています。また、血小板と白血球は完全に別々の層へ分かれるわけではなく、境界部分で重なり合って存在しています。当院で行うW-PRP皮膚再生治療では、この白血球を含む領域まで適切に抽出して治療に活用することが特徴です。

血液中の血小板や白血球の含有量には個人差があるため、1回の遠心分離では、治療に必要な量を十分に確保できない場合があります。当院では、そのような場合でも2回目の採血を行ったり、量や濃度が不十分なまま注入するような治療をしない決まりとしています。まず、1回目の遠心分離器に入りきらない分の血液を廃棄せずに、適切な方法で保管し、その血液を活用し2回目の遠心分離と抽出を実施します。 1回目に抽出した成分と合わせて使用することで、血小板や白血球を含む成分をしっかりと集め、治療に適した量と濃縮状態へ調整しています。
W-PRP皮膚再生治療は、美容医療のためだけに生まれた治療ではありません。もともと、外科や創傷治癒、歯科・口腔外科などの分野で、組織の修復や治癒をサポートする目的で研究・応用されてきた歴史のある治療法です。
PRPに関する研究は1950年代から進み、1970年代には手術時の止血などを目的に血小板を活用する試みが行われました。その後、心臓外科や創傷治癒の分野へと応用が広がり、1990年代には歯科・口腔外科領域でも、骨や組織の修復をサポートする方法として注目されるようになりました。さらに、整形外科やスポーツ医療、形成外科など幅広い分野へ活用が広がり、2000年代初頭からは皮膚や頭皮の組織修復・再生を目的とする領域でも、研究や臨床応用が進みました。現在では美容・頭髪領域にも広く応用され、PRPを用いた治療は、治療内容に応じて「再生医療等安全性確保法」に基づく再生医療等として提供されています。
【施術内容について】
今回は、当院スタッフ2名がW-PRP皮膚再生治療を実際に体験しました。1名は顔、もう1名は頭皮への施術を行っています。実際の施術の流れや経過とともに、それぞれのお悩みに対してどのような変化が見られたのかをご紹介します。
まず1人目は、顔全体のエイジングサインがお悩みの40代スタッフです。年齢とともに、ほうれい線や目の下の小ジワが目立つようになり、さらに鼻根部に刻まれたシワや頬全体のハリ低下が気になるようになってきたとのこと。今回は、こうした複数のエイジングサインに対してW-PRP皮膚再生治療を行いました。 2人目は、髪のハリ・コシの低下や、頭髪のボリューム減少がお悩みの30代後半スタッフです。頭皮へW-PRPを注入し、頭髪への変化を経過観察しました。頭皮の症例については、次回のブログで詳しくご紹介します。
※抽出量について
当院では、W-PRPの抽出量を1キット(2cc)または2キット(4cc)からお選びいただけます。使用量は、肌や頭皮の状態、ご希望の施術範囲・部位などを診察したうえで、医師とご相談いただきながら決定します。おおよその目安として、顔全体や頭皮全体など広い範囲への施術には2キット、目元・口元・生え際など気になる部分を中心に施術する場合には1キットをご提案することがあります。また、施術範囲は限られていても、気になる部分へより重点的に注入したい場合には2キットを選択することも可能です。尚、2キットを使用する場合は、同じ部位へ集中的に使用するほか、「顔に1キット+首に1キット」など、2部位に分けて施術することも可能です。今回は、スタッフ2名とも希望範囲が広く、気になる部分には重点的な施術を希望したため、2キット(4cc)を選択して施術を行いました。



Q.施術中の痛みはありますか?
A.W-PRP皮膚再生治療ではご自身の血液を使用するため、まず採血を行います。採血時には採血針による刺激がありますが、当院では個室のベッドで横になり、リラックスしていただける環境で丁寧に採血を行っています。また、W-PRPを注入する際の痛みをできるだけ軽減できるよう、施術部位に合わせた麻酔をご用意しています。(頭皮の麻酔はオプションとなります)
【顔・首・手の甲の施術】
注射を使用するため痛みが全く無い訳ではありませんが、施術前にクリーム麻酔を塗布し、十分に麻酔が効いてから施術を開始します。なお、当院ではクリーム麻酔による追加料金はいただいておりません。
【頭皮の施術】
頭皮はクリーム麻酔を塗布しにくいため、ご希望に応じて神経ブロック注射(オプション料金:別途11,000円税込)をご用意しています。神経ブロック注射とは、頭皮の感覚を伝える神経の近くに局所麻酔薬を注射し、一時的に痛みの伝達を抑える麻酔方法です。主に額やこめかみ付近の数か所に局所麻酔を行うことで、頭皮の知覚を鈍らせ、W-PRP注入時の痛みを軽減します。頭髪のPRP治療に関する研究などでも、頭皮の神経ブロックが用いられています。痛みがご不安な方は、診察時にお気軽にご相談ください。
Q.ダウンタイムはありますか?
A.W-PRP皮膚再生治療は比較的広範囲に細かく注入する施術のため、施術後は注入箇所に赤みや腫れが出やすいですが、2~3日程で徐々に軽快していきます。部分的に内出血が生じることがありますが、1~2週間程で自然に改善していきます。施術直後からメイク可能ですので、コンシーラーやファンデーションでカバーされる方もいらっしゃいます。

Q.いつから効果が出ますか?
A.W-PRP皮膚再生治療は、注入直後に形を変える治療ではなく、ご自身の組織修復の働きを活用しながら、時間をかけて変化を促していく治療です。そのため、効果の現れ方や程度には個人差があります。
【顔・首・手の甲の効果について】
1~2か月頃から徐々に変化を感じ始める方が多く、コラーゲン生成などを通して、小ジワ、肌のハリ・弾力、質感などの改善が期待できます。PRPを片側の顔に注入した臨床研究では、施術6か月後の患者自身による評価において、PRPを注入した側で肌の質感やシワの改善が確認されたことが報告されています。※1
【頭皮の効果について】
毛髪の変化には一定の期間が必要となるため、数か月かけて経過をみていきます。 毛根周囲の環境に働きかけることで、薄毛や抜け毛、髪のハリ・コシ、毛髪密度などの改善を目指します。AGA(男性型・女性型脱毛症)に対する、複数の研究を評価した解析では、施術3か月後および6か月後に、プラセボと比較して毛髪密度の有意な増加が認められたことが報告されています。※2
当院でも施術5~6か月後頃から徐々に変化を感じたと感想をいただくことが多いです。このように、W-PRP皮膚再生治療はすぐに大きな変化をもたらす治療ではなく、時間の経過とともに徐々に自然な変化を目指すことが特徴です。
(参考文献・論文)
※1:Alam M, Hughart R, Champlain A, et al.
Effect of Platelet-Rich Plasma Injection for Rejuvenation of Photoaged Facial Skin: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Dermatology. 2018;154(12):1447-1452.
顔の左右でPRPと生理食塩水を比較したランダム化比較試験。27名が登録され、19名を解析。1回のPRP注入から6か月後、患者自身の評価ではPRP側で「肌の質感」と「シワ」が生理食塩水側より有意に改善しました。
※2:Zhang XX, et al.
Platelet-Rich Plasma for Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.
Journal of Cutaneous Medicine and Surgery. 2023;27(5).
AGAに対するPRPのランダム化比較試験9件、計238例を解析したシステマティックレビュー・メタ解析。PRP群ではプラセボ群と比較し、3か月および6か月時点で毛髪密度の有意な増加が認められました。

目元や口元は皮膚が薄く、日常的な表情の動きも多いため、細かなちりめんジワや小ジワが現れやすい部位です。ちりめんジワや小ジワは、皮膚表面に現れる浅く細かなシワで、乾燥に加え、コラーゲンやエラスチンの減少など、加齢による皮膚内部の変化も関係しています。
W-PRP皮膚再生治療では、血小板に含まれる成長因子などが組織修復の過程に働きかけ、線維芽細胞の働きやコラーゲン産生、皮膚組織の再構築を促すことで、小ジワの改善を目指します。肌そのものの変化を促していく治療のため、目元や口元の細かなシワを自然に整えたい方にも適しています。臨床研究でも、施術後に真皮のコラーゲン量が増加したことが報告されています。※1
肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などは、年齢とともに減少していきます。その背景には、これらの成分を生み出す線維芽細胞の働きの変化や、皮膚組織の代謝・再構築機能の低下などが関係しています。W-PRP皮膚再生治療では、血小板に含まれる複数の成長因子が組織修復の過程に働きかけ、線維芽細胞の活性や、皮膚組織の再構築を促すことで、肌のハリや弾力の改善を目指します。
紫外線や乾燥、加齢などの影響が積み重なると、肌のキメが乱れたり、毛穴が目立ちやすくなったりと、肌全体の質感にも変化が現れます。W-PRP皮膚再生治療は、組織修復に関わる働きを活用しながら、肌全体のコンディションを整えていくことを目指す治療です。そのため、小ジワだけでなく、肌全体のなめらかさやキメを整えたい方にも選択肢のひとつとなります。臨床研究でも、シワだけでなく、肌の質感や毛穴の目立ちなどが改善したという報告もあります。※2
目の下のクマは、色素沈着、血行不良、皮膚の薄さ、ハリの低下、くぼみによる影など、複数の要因が重なって目立つことがあります。そのため、原因に応じた治療を選ぶことが大切です。
W-PRP皮膚再生治療では、血小板に含まれる成長因子などが組織修復や血管新生・血流改善の過程に働きかけ、コラーゲン産生や皮膚組織の再構築を促すことで、クマの目立ちにくい目元を目指します。 これまでに行われた複数の研究をまとめた報告でも、目周りの色調や細かなシワなどの改善が報告されています。※3
ただし、クマは原因によって適した治療が異なります。特に、強い色素沈着や眼窩脂肪の突出、くぼみによる影が主な原因の場合は、W-PRP皮膚再生治療だけでは十分な改善が得られないこともあります。クマのタイプを診察したうえで、適した治療をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
W-PRP皮膚再生治療は、顔だけでなく首や手の甲など、年齢による変化が現れやすい部位にも施術が可能です。首は顔に近く、視線が集まりやすい部位のため、顔との肌質やハリ感の差が気になることがあります。また、手の甲も乾燥やハリの低下などが目立ちやすく、顔とあわせてケアしたいと考える方が多い部位です。顔だけにとどまらず、首や手の甲まで一緒にケアすることで、全体の印象に自然な統一感をもたせながら、年齢を感じやすいパーツまで丁寧に整えていくことができます。
W-PRP皮膚再生治療は、顔だけでなく頭皮・頭髪のお悩みにも活用されています。年齢やさまざまな要因によって毛髪をつくる働きが低下すると、抜け毛が増えたり、髪が細くなったり、全体的なボリューム不足を感じやすくなります。
W-PRPを頭皮へ注入することで、血小板に含まれる成長因子などを活用し、毛根周囲の環境や毛髪の成長に関わる働きへアプローチして薄毛や抜け毛の改善、髪のハリ・コシ、毛髪密度の向上を目指します。PRPを用いた頭髪治療の臨床研究では、治療後に毛髪数や毛髪密度、成長期毛の割合が増加したことが報告されています。※4
(参考文献・論文)
※1:Abuaf OK, et al.
Annals of Dermatology. 2016;28(6):718-724.
DOI: 10.5021/ad.2016.28.6.718
PRP施術前後の皮膚組織を生検して比較した前向き臨床研究です。組織学的評価で、PRP施術後に真皮のコラーゲン量が有意に増加したことが示されています。
※2:Du R, Lei T.
Experimental and Therapeutic Medicine. 2020;19(4):3024-3030.
DOI: 10.3892/etm.2020.8531
PRP施術前後の効果を評価した研究で、VISIAによる解析などから、シワ、肌の質感、毛穴などの改善が報告されています。
※3:Banihashemi M, et al.
Acta Biomed. 2021;92(2).
DOI: 10.23750/abm.v92i2.9687
30名を対象にPRPを2回施術し、目の下のクマと目周りのシワの改善が評価されています。研究者による評価でもクマの改善が有意に認められ、結論では目周りのクマとシワで良好な結果が得られたとしています。
※4:Rodrigues BL, et al.
Journal of the American Academy of Dermatology. 2019;80(3):694-700.
DOI: 10.1016/j.jaad.2018.09.033
PRP治療6か月後に成長期毛、毛髪密度、終毛密度がベースラインと比較して有意に改善し、毛髪密度については対照側との比較でも有意な増加が確認されています。
W-PRP皮膚再生治療の治療についてご興味のある方、是非お気軽にご相談ください。
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PROFILE
山崎 和紀(やまざき かずのり)
杏林大学医学部 卒業
杏林大学医学部附属病院 勤務
名古屋大学医学部附属病院形成外科 勤務
静岡済生会病院形成外科 勤務
虎の門病院形成外科 勤務
東京西徳洲会病院形成外科部長就任
2018年アンデュースキンケアクリニック院長就任
日本専門医機構形成外科領域専門医
日本美容皮膚科学会正会員
サーマクール認定医
アンデュースキンケアクリニック
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